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ゆとりーなの日記

日記的な事を書いて行くと思はれる

萬年筆の話

今日はどうやら萬年筆の日らしい。偶々この日に萬年筆のインクの事を考へないといけない機󠄁會があつたので、この偶然を記念してつらつら書いておく。
元々萬年筆を使󠄁ひ始めたのは周󠄀りからの壓力ではあるのだが(舊假名遣󠄁ひら國民服󠄁を前󠄁面に出してゐると、ボールペン等と云つた物を使󠄁つてゐるところを見られると苦情󠄁が來るのである)、實際に使󠄁つて見るとボールペン等に比べて字が綺麗に書ける(氣がする)のでわりとあつさり移行する事ができた。最初はカートリッジ式の物を使󠄁つてゐたのだが、これも懷古的見た目(言はなければ分󠄁らない部分󠄁ではある筈なのだが)を理由に批難󠄀され、最終󠄁的にプランジャー式の物を恩師から幾󠄁つか頂いたので今では專らそれらを使󠄁つてゐる。カートリッジ式に比べて手入れの洗滌等で手間が掛るが、見た目がそれらしければ中身はとことん手を拔く方針である私でも流石にこのくらゐなら許容範圍󠄁である。
さて、今回は契󠄁約書に文󠄁字列を書かないといけないと云ふ機󠄁會があつたのでいつものやうに萬年筆を取り出してはみたのだが、さう云へばインクが水性なのはこの手の物に對してどうなのかとふと思つたので萬年筆と契󠄁約書のインク事情󠄁をgoogle先生に聞く事にした。
取敢ず今迄使󠄁つてゐたPARKERのQUINKは水性染料と云ふタイプで耐水性が低く、案の定契󠄁約書等の用途󠄁には向かないと云ふ事だつた。とは云へ昔はなんでも萬年筆で書かれてゐた印象があるので、それ用のインクもあるのだらうとgoogle先生を問詰めて行くと、水性顏料インクと古典インクと云ふ選󠄁擇肢が出てきた。顏料インクは今時なインクで耐水性は拔群なのだが、中で固まるとわりとどうしやうもないところがありメンテナンスが難しいとの事だつた。一方の古典インクは昔ながらのインクで耐水性はあるのだが、インクが酸性なのでペン先や紙を傷めやすいと云ふ問題があるやうである。環󠄁境等への懸念も見られた。
懷古趣味で云へば古典インク一擇なのであるが、懷古遊󠄁びを一番にしたい訣ではないし、環󠄁境とか言はれると選󠄁擇すべきは顏料インクの方かとも思ふ。また、紙が傷んでしまふのでは耐水性があつても意󠄁味ないではないかと思はない事もない。しかしながら手入れの手間が恐ろしく面倒さうな事等を考へると(今は物理的記述󠄁を殆どしないのでインクを入れてから空󠄁になる迄使󠄁ひ續けると云つた事が抑難󠄀しい)顏料インクの方もいまいち踏み出せないところがある。猶󠄂、古典インクも使󠄁ひ切つた方が良い(放置した後の處置が顏料よりはやや樂程󠄁度の差はあるらしい)みたいなのでこれはどちらにも言へる事ではあるのだが。
これはもう大人しくボールペンで書いておけと云ふ事なのだらうか。

眼鏡のレンズの話

次󠄁の丸眼鏡3點には上段と下段で違󠄂ひがある。
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形狀・タイプの違󠄂ひもあるが、今回の話題は上が現行のプラスチックレンズに交󠄁換した物で、下がオリジナルの硝󠄁子(恐らく)レンズのまゝの物と云ふ事である。光を反射する色が前󠄁者󠄁は綠で、後者󠄁が白になつてゐる。今迄ずつと外側重視󠄁できたので側には多少こだはつてきたが、見えない處やぱつと見で大差がない處に就いては現行の物をそのまま使󠄁つてきた。何も考へずにどこにでもある眼鏡屋チェーン店でレンズ交󠄁換に出したのも、レンズを現行品に變へたところで綺麗になり過󠄁ぎるみたいな事はあるかもしれないが、ぱつと見でそこまで風合の違󠄂ひは分󠄁らないだらうと思つての事である。しかし最近󠄁この反射色の差は見過󠄁せないのではないかと思ひ出した。
眼鏡屋で相談してみたところ、この綠色の反射と云ふのは反射防止コートと云ふものの影響󠄃で、現在賣られてゐるレンズには大抵標準で附いてゐるとの事だつた。プラスチックレンズを硝󠄁子レンズに變へたところでこの現象は改善せず(硝󠄁子レンズにもこのコートが大抵附いてゐる)、僅かにコート無しのレンズも生產されてはゐるが、現狀のラインナップでは球面のもの丈󠄁で平󠄁面のものはない等の制約があるやうで、反射を防がない影響󠄃で視󠄁界が眩しいかもしれないと云ふデメリットもあるかもしれないらしい。
猶󠄂、倍の値段を出せば目の側は反射防止コートを付け、外側は付けない(詰り中から見ると今時の眼鏡の視󠄁界と大差なく、外側から見ると反射の色が白に見える)みたいなマニア向け(?)の特殊なレンズを作る事が出來ると云ふ話も聞いた。現狀では日常使󠄁ひ且つ大正~昭和初期~戰中期の風合を出す眼鏡のレンズはこれが最適󠄁解かもしれない。

異體字を使󠄁ふ時に便󠄁利なリンク

異體字セレクタを使󠄁つて舊字體の文󠄁章を書く時に便󠄁利なリンク集

正字くん Ver0.3

http://www.seikana.org/seiji/index.html
纏まつた文󠄁章を變換したい時に便󠄁利。

AdobeJapan1 IVS異體字一覽

http://wakufactory.jp/densho/font/ivs_aj.html
AdobeJapan1の規格上でどのやうな字があるかを一覽で見られる。正字くんでは一般的な舊字體に變換されるが、AdobeJapan1の規格では同じ舊字體でもある程󠄁度形のバリエーションが選󠄁べる字も幾󠄁つかある。どのやうな字形が選󠄁べるのかを調󠄁べる時に重寶する。こだはり用。

文󠄁字コードDB

http://wakufactory.jp/densho/font/db/mojidb2.html
調󠄁べたい漢󠄁字を檢索すると、異體字セレクタで使󠄁へる漢󠄁字を總て出してくれる。AdobeJapan1と汎用電子の兩方の規格が見られる。ピンポイントで使󠄁ひたい漢󠄁字を調󠄁べる時に便󠄁利。新字を入れると包󠄁攝されてゐない舊字が別にあれば對應する舊字の文󠄁字コードも出してくれる(一部を除く)ので、新字から舊字を探す時にも使󠄁へる。

IVSとGoogle日本語入力を利用した舊字體入力に就いて

世の中には異字體を表示する規格である異體字セレクタ(IVS)と云ふものがある。これを使󠄁へば戰前󠄁の舊字體を通󠄁常のJIS漢字の範圍󠄁や、UNICODEの機󠄁種依存文󠄁字の範圍󠄁よりも多く使󠄁ふ事ができる。この記事の本文󠄁もIVSを使󠄁つて入力し、ブログの表示フォントをIVS對應フォント指定にしてあるので、それらのフォントがインストールされた環󠄁境であれば、違󠄂ひが分󠄁ると思はれる。
試してみた處、Google日本語入力の辭書登錄がIVSに對應してゐる事が分󠄁つた。ユーザー辭書に漢字を登錄しておき、その單語をIVS對應環󠄁境(Wordなど)で入力し、IVS對應フォントを指定すればその異字體で表示される。それらの字を含む候補は、變換候補一覽に於いて字體の違󠄂ひも或る程度は判󠄁別できるし、機󠄁種依存文󠄁字と表示されるので使󠄁ひ分󠄁けも簡單である(但し一々變換候補一覽を出してそれを氣をつけて見ないといけないと云ふ手間はあるが)。これは詰り變換ツールに賴らなくてもIMEの範圍で對應できると云ふ事である。
と云ふ訳で今機󠄁種依存文󠄁字及びIVS(ひとまづ游明󠄁朝󠄁等を使󠄁ふ都合上Adobe-Japan1の方のみ)を驅使󠄁してできるだけ舊字を入力する爲の辭書を整備してゐる。猶󠄂、字形の選󠄁定に於いては私の獨斷と偏見で決めてゐる。以下註記しておいた方が良ささうなものを表にしておいた。

字形 メモ
潔󠄁 丰の形が氣に喰はないが他に選擇肢がない(汎用電子IVSにはある)。
筆押へが欲しいがない(汎用電子IVSにはある)。
偉󠄁緯󠄁違󠄂圍 ヰの形は左上を直角に曲げるので統一したいが、一部字に關してはその形がない(汎用電子IVSにはある)。
主注󠄁柱󠄁往󠄁駐󠄁註 「主」のみ丶+王、ほかは亠+土にした。このパターンが一番多い氣がする。
敵適󠄁滴 啇の一畫目は縱棒で統一したいが、適に關しては二點しんにようでさうなつてゐる字形がない(汎用電子IVSにはある)。
戶所󠄁扇󠄁扉󠄁肩啓雇顧偏編篇󠄀遍󠄁 戶にした字は戰前の辭書及び書籍を見て決めた。遍󠄁に關しては他の扁に合はせて戸につくりたいのだが、二點しんにようでさうなつてゐる字形がない。いつその事戶で統一した方が良いかもしれない。
約的釣酌󠄁 勺の中を丶にするか一にするかは戰前の辭書及び書籍を見て決めた。正直基準がよくわからない。
及扱級吸汲 又につくる形はあまり見ないので現行マヽにした。「汲」等も及で統一した方が良いやうな氣もするのだが、戰前の辭書をみると又になつてゐる。この基準もよくわからない。
音󠄁響󠄃暗󠄁韻闇 音󠄁の一畫目は橫棒の方がよく見る氣がするので統一したかつたが、その形がなかつた(汎用電子IVSにはある)。「音󠄁韻」等の熟語で揃つてないのは見榮えが惡いので縱棒統一の方がいいかもしれない。
龍󠄂籠寵瀧襲 龍の一畫目は橫棒の方がよく見る氣がするので統一したかつたが、その形がなかつた(汎用電子IVSにはある)。龍しか橫にできないので縱棒統一で良い氣もする。
育充統 この手の字は亠+ムより一+ムに見えなくもないが、字形がないので現行マヽ(汎用電子IVSにはある)。
意󠄁億臆憶 意󠄁の一畫目は正直どちらも見る。しかもわりと統一はされてない。意󠄁以外は橫棒の形がなかつたのでかうなつてゐるが(汎用電子IVSにはある)、縱棒統一で良い氣もする。
區󠄁 この匚と匸の中間の區󠄁は戰前書籍で頻出するので讓り難いところ(猶󠄂、サンプル數)。
巨󠄁距󠄁拒󠄁 巨は單體だと工につくるものをよく見るが、つくりにくる場合は匚に見えるものも多い。今回は工で統一。
勇󠄁湧 勇󠄁の上部は甬で統一したかつたが、湧に關しては字形がない(汎用電子IVSにはある)。
非悲󠄁排󠄁緋󠄁輩󠄁俳 今の明朝体は「非」單體だと左下の橫棒が縱棒を突き拔け、他は突き拔けない形のものが多いが、戰前の書籍は突き拔ける方で統一されてゐるものをよく見る。俳以外は突き拔ける字形があつたので採用。
幾󠄁機󠄁磯󠄁 戍の左上が交󠄁叉󠄀する字形をよく見るので採用。
八󠄀分󠄁頒󠄁松󠄁訟󠄁 八󠄀はこの形をよく見るので採用。

字自體は登錄したので、あとは單語が增えてきたら公󠄁開する豫定である。しかし汎用電子IVSの方にも捨󠄁て難い形が多いので、游明󠄁朝󠄁がこちらもサポートしてくれれば大歡喜なのだが今の處そのやうにはなつてゐない。なら汎用電子に絞󠄁つてIPAmj明󠄁朝󠄁を使󠄁へば良いかと云ふと、今度はAdobe-Japan1の方にしかない形が出て來てしまふので結局同樣の問題が起󠄁きる。因みに花園明󠄁朝󠄁は両對應なのだが、游明󠄁朝󠄁のデザインの美しさも中々捨󠄁て難いのである。

戰前󠄁風の組版を作る

前󠄁回戰前󠄁風の漢󠄁字を表示する方法を幾󠄁つか紹介したので、ここでは實際に組版のやうなものをやつてみる。WindowsPCとWordさへあればあとは無料のものだけを使󠄁つてやる。

用意󠄁するもの

正字正かなの文󠄁章を打つならこれがあつた方が良い。後述󠄁する辭書を導󠄁入すれば入力環󠄁境がかなり改善する。

Google日本語入力用正字正かな辭書から正かな用の辭書を導󠄁入する。これさへあれば正かなの文󠄁章を現代仮名遣いのやうにそのまま變換できる。

  • Tフォント

Tフォントプロジェクト What's NewからTフォントをインストールする。かなりの數の所󠄁謂康煕字典體を出力できる。ゴシック、明朝󠄁、楷書のフォントがあるが、組版を行なふ分にはひとまづゴシックと明朝󠄁だけあれば良いだらう。

お題


クリスマスシーズンなので、twitterでも話題になつてゐたこの新聞記事の文󠄁章を文󠄁字起󠄁ししてみる。できるだけ元の文󠄁章に忠實に漢󠄁字の形を選󠄁ぶ。假名遣󠄁ひ、ルビ等も現代表記に直さずに正かな、字音假名遣ひマヽとする。

作業開始

ページレイアウト

まづはWordを開いて白紙の文󠄁書を作る。ページレイアウトの餘白は狹いにして、段組を4段くらゐにしておく。文󠄁字列の方向、印刷の向きは縱にする。これで新聞らしい雰󠄁圍󠄁氣は出る。

入力

取敢ず文󠄁章を全󠄁部そのまゝ打ち込む。Google日本語入力正字正かな辭書があれば、正字(Shift-JISで對應してゐる範圍󠄁)正かなでの文󠄁章がすらすら打てるので大分󠄁作業時間が短縮される。
文󠄁章が打ち終󠄁たらフォントの調󠄁整をする。全󠄁文󠄁のフォントをTMincho-GT01にし、見出しは大きめにする。正かなで入力した影響󠄃で赤い波線が澤山引かれてゐるがそこは氣にしない。
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漢󠄁字の差替

上の畫像を見れば「教」や「者」、「情」と云つた文󠄁字が違󠄂ふ事がわかる。「教」や「者」に關しては機󠄁種依存文󠄁字があるので「敎」等と出せない事もないのだが、「情」に關してはどうしやうもない。そこでTフォントの出番である。
Tフォントのページの各種資󠄁料タブを開くと「Tフォント(GTセット) グリフ一覧 DOCファイル」と云ふものが配布されてゐる。これを開いて「情」と云ふ文󠄁字を檢索する。何回か檢索すると「情」と云ふ文󠄁字が出てくるので、その周󠄀邊で月󠄁の部分󠄁が円になつてゐる字形を探す。見附かつたらそれをコピペして、文󠄁字のサイズを調󠄁整する。これを總ての差換へるべき文󠄁字に對して行なふ。
以上は一覽が部首、畫數で並べられてゐる事を利用した檢索方法なのだが、新字と正字で畫數が離れてゐたりすると探すのが手間になる。また、部首が違󠄂ふと全󠄁然違󠄂ふ處にある(「冬󠄀など」)のでこちらに關してはまた別の檢索方法を考へないといけない。この部分󠄁の作業に一番時間がかかるので、作業時間を短縮する方法を考へないと長い文󠄁章ではやつてられないとは思ふ。
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ルビ

ルビはワードの機󠄁能で普通󠄁に打てば良いのだが、漢󠄁字を差し替へたものはフォントが變つてゐるのでそのやうなフォントが入り雜じつた熟語に關しては纏めてルビを入れる事ができない(纏めて入れるとフォントが全󠄁部統一されるので文󠄁字が化󠄁ける)。なので一文󠄁字づつルビを入れていかなければならない。フォントやら字音󠄁假名遣󠄁ひの影響󠄃で元から入つてゐるルビの候補も殆どアテにならない。この作業も地味に面倒である。
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調󠄁整

上のまゝだと行間が開きすぎなので、ページレイアウトの段落の行間を固定値にする。本文のフォントサイズが10.5pt、ルビサイズが4pt、オフセットが0ptの場合、この固定値を22pt程󠄁度にすれば丁度良い鹽梅󠄀になる。以下調󠄁整した全󠄁文󠄁がこちら。
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一段に入れる文󠄁字の數等も調󠄁整してあるが、この邊りはお好みで良いだらう。折角だから元記事通󠄁りの文󠄁字配置にしたかつたのだが、そこは殘念ながらうまく行かなかつた。

このやうに手間さへかければ有料フォントを使󠄁はずとも戰前󠄁風の組版は組まうと思へば組む事ができる。